高齢者を排除するサークル

 関西のとあるサークルの話である。
 サークルの世話人が、男性会員から「僕ら怖くて踊れません。辞めさせて欲しい」との要望で、ある高齢の女性に退会を宣告したと聞いた。たまたま、男が少ないために男性の言いなりになって排除にでたようだ。

 サークルは、毎週1回、水曜日の昼間に現役プロA級の先生が教えに来てステップ中心に講習が行われているそうだ。時間的な関係から、定年後の人や、年齢層が高い会員が多いと聞く。

 その女性は、サークルを創るときに勧誘があって入会したらしい。高齢と言っても、その女性は長年ダンスをしているので、動くことに支障がなく、ステップを覚えることも他の人にひけを取らないそうだ。ダンスが生き甲斐と言うほどダンスが好きで、競技選手の娘さんとダンス談義に華が咲くそうだ。

 ダンス好きな女性に対して退会を迫り、生き甲斐を奪おうとするのは如何なものであろうか。退会を言ってくる男性会員も、その意見をそのまま受け入れてしまう世話人の対応も冷く狭量な人達だと思う。そもそも、サークルの在り方が分かっていないのではないかとさえ思う。

 ダンスの社会は、何処も高齢者が多い。競技人口の大部分が60歳前後と云われるほど高齢者の社会なのだ。退会を迫った男性会員だって高齢者じゃないか。もしも自分の好きなことを辞めるように言われたらどのように思うだろう。
自分は上手いつもりでいるのだろうが、サークルで習っているくらいではそんなに動けないはずだし、リードだって下手だと思われる。他の人とは違うと思っているのは自分だけで、まわりの人は大差ないと思っていることに気づくべきだ。

 経験上、ダンスが上手くなってくると、ダンスの技量もさることながら人格的に優れてくる。気遣いがあり柔和な姿勢で人と対応し、リードは優しく、優雅に楽しく踊らせてくれる。そのようなことができないのは、人格的にも、ダンスの技術的にもレベルが低い証拠だ。

 サークルは、「競技をするカップル募集」あるいは「30未満の男女」などと特別の目的を云って募集しているものでない限り、例え踊れない人であっても、同好の士、趣味を同じくする人同士の楽しみを共有すべき場所ではないだろうか。
自分よりも上手い人も下手な人もいる。下手な人には上手い人が協力し、上手い人は講師の話から得るものを身につけ、より高いレベルを目指すなど、ダンスを覚え楽しむという同じ目的を会員同士が共有し、共に成長するために協調性が要求されるものがサークルだと気づくべきです。サークルは自分のエゴを出すところではないのです。
 それが嫌ならサークルに入る資格はないのだ。ダンスを上手くなりたいのならサークルではなく、ダンス教室に行って個人レッスンを受けるべきだ。
 気に入らないからとか、高齢だとかいろんな理由で排除に回れば「明日は我が身」。退会を迫ったあなたも高齢者でダンスが下手だとくれば、次はあなたが排除される番だと気づくべきです。

世の中にはいろんな人がおります。そのような人と付き合うときに「ダンスをする」との共通のものがあるから仲間意識が生まれるのではないでしょうか。たまには、サークルの後にお茶を飲みに行って雑談をしたりして親睦の和が大きくなり楽しみも倍加するのも、共通の趣味だからではないでしょうか。

 サークルは、プロや競技選手の養成をする場ではないのである。会員同士、同じ趣味を共有しているから、会員同士、親睦を図りながら楽しく研鑽できる。ダンス教室で習うのとは違った雰囲気で覚えることが出来るのも仲間がいるからです。
 そしてサークルの活動について行けない時、それはいろいろな事情があるでしょう。加齢に限らず、経済的な問題、子どもの就学、夫の転勤などを機会にダンスから遠ざかる時期があります。また、記憶の面でも、技量の面でもついて行けないときもあります。それを補うのがサークルの仲間です。それが出来なくなったことに気がついたその時がサークルを退会する時期であり、それは他人が決めることではなく、自分自身が決めることなのです。 それまでは、お互い様だ。仲間意識が欠けたサークルは長くは続かないだろう。

(2007,04,12 F)