ダンス関係法令
(目次)
 1 社交ダンスを規律する法律
  (1) 風俗営業法
  (2) 著作権法
 2 社交ダンスに関する判例

 3 参考文献 
 
1 社交ダンスを規律する法律

 (1) 風俗等の規制及び業務の適正化等に関する法律(通称「風営法」とか「風俗営業法」などと呼ばれます。)

  社交ダンスは風俗営業の一部として規律され法律で規制を受けております。昭和59年の風俗営業法の一部改正によって、社交ダンスは規制からはずれたと喜んでいる方がおりますが、それは大きな間違いです。今でも社交ダンスは風俗営業法の規制の枠内でしか運用が許されていないのです。
 59年の法改正があるまでは、未成年者がダンス教室に通うことは許されなかったのですが、それができるように改正され、未成年者への門戸が開放されたことは今後のダンス界にとって明るい材料ではあったのですが、ダンス教師の資格取得は公安委員会の承認に係ることであるし、立派に風俗営業法の枠内のことなのです。

 59年以前は、各地の教師協会の行う教師資格試験は、その運営が各々の団体に委ねられ、歴史的経緯から公安委員会は介入してこなかったのです(地方によって異なります)。その意味では国家の干渉から免れていたと入って良いでしょう。しかし、59年からは公安委員会の指導により、公安委員会の認める枠内で、社団法人全日本ダンス協会連合会(ANAD)のダンス教師資格試験及び財団法人日本ボールルームダンス連盟(JBDF)のインストラクターの試験の二つの団体の試験に集約され、国家の規制の枠内でのみ運用が許されているのです。

 酒類を伴うダンス・ホール、ホスト及びホステスを配置するダンス場等は風俗営業本来のものと思われ、そこで働く人や照明などの施設に関しては公序良俗を維持するように規制の網が必要と思われますが、こと教育に関してはそれらと同等のレベルで規制すべきではないと思います。

 世の中の流れは、国家権力の干渉から離れ、自由に競争する方向に変化しつつあります。しかし、ダンス界の中には国家の規制の枠内の方が安心できるという人もおります。外国の例をみると、イギリスのオフィシャル・ボードは任意団体で、国家権力からの介入はありません。したがって、独自に自由に活動が保証され、教師試験やダンスの技術の改訂、教育の面等で、世界中にその影響力を発揮しています。

たしかに国家権力の枠内であれば、既存の体制の中で旧態依然としたものが維持されるので楽かも知れません。しかし、ダンス界の発展のためには今まで以上の自由競争の促進が必要でしょう。
今後のダンス界をどのような方向付けをすれば良いのか皆さんに考えて欲しいものです。

 ダンスの世界に関わる人は、一度は風俗営業法を読んでみる必要があります。風俗営業法等の法律は市販の六法全書などに掲載されていますが、下記にダンス界に直接関わる法律を次に掲載しておきます。
 なお、各種法令を調べるには、法令データ提供システム(総務省行政管理局)で調べるのが便利です。法律の条文と語句の索引があり、大変便利です。
(a) 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和二十三年七月十日法律第百二十二号)
(b) 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行令(昭和五十九年十一月七日政令第三百十九号)
(c) 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則(昭和六十年一月十一日国家公安委員会規則第一号)
(d) 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律に基づく許可申請書の添付書類等に関する内閣府令(昭和六十年一月十一日総理府令第一号)
(e) 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行令附則第二項に基づく型式の指定に係る都道府県公安委員会規則の基準を定める規則(昭和六十年二月十二日国家公安委員会規則第六号)
(f) 風俗環境浄化協会に関する規則(昭和六十年一月十一日国家公安委員会規則第三号)
 
 (2) 著作権法

   ダンスを営業的に行う場合、音楽が必要になります。
   ダンスホールの生演奏やダンス教室でレッスンを受ける場合CDをかけてそれによって踊りますが、それらの音楽には著作権料の支払い義務が発生します。
   音楽には作曲者、編曲者、演奏者、歌手、作詞者に著作権や著作隣接権が法的に認められているからです。

   最近は著作権フリーのCDが発売されておりますが、これは著作権料を支払わないための対抗策として生まれたものなのです。
 
(a) 著作権法(昭和四十五年五月六日法律第四十八号)
(b) 著作権法施行規則(昭和四十五年十二月二十三日文部省令第二十六号)
 
2 社交ダンスに関する判例
  ダンス界といっても特殊なことではなく、世間一般に行われる法律関係の適用は何ら変わらないのです。
 ダンス界で実際にあった出来事を基に今後の反省材料として生かすために参考としていただきたいと思います。
 (1) 著作権関係
   ダンス教室で使用する音楽に著作隣接権があり使用料を支払えとした判例
 最高裁第3小法廷(藤田宙靖裁判長)は、2004年(平成16)9月28日、日本音楽著作権協会(JASRAC,東京都渋谷区)が名古屋市にある社交ダンス教室7カ所等に対し、ダンス教室で使用した音楽使用料5,130万円の支払い等を求めた訴訟で、教室側の上告を退ける決定を出し、名古屋高裁判決(平成16年3月)が確定した。著作権法で保護されている「演奏権」の侵害を認め、教室側に音楽使用差し止めと過去10年分の使用料約3,640万円の支払いを命じたもの。
 【参考】最近、著作権フリーのCDが発売されていますが、これは、名古屋のダンス教室等が使用した音楽の著作権使用料を支払えとの判決が確定したため、ダンス業界の一部で著作権使用料を支払う必要がないCDを制作し販売するようになったからです。
[参考]
(社)日本音楽著作権協会(JASRAC)のプレスリリース参照
名古屋高裁(2004,3,4) 最高裁(2004,9,29)]
ひらお法律特許事務所
ダンスレッスンで使用する音楽は著作権侵害か
閑話休題/音楽CDでレッスンの音楽教室「著作権侵害」
著作権判例要旨書庫「社交ダンス教授所事件」
Fighting MAL Antenna/ダンス教室「著作権侵害」 最高裁判決
 
   昭和28年2月12日に、日本音楽著作権協会は、大阪のメトロ、ハリウッド、シスコ、エムパイア、ドミノ、パラマウント花園の7大キャバレーに対し合計で2,800万円の著作権法違反で大阪地検に告訴した事例があります。[その後の対応は不明]
 (2)

 
3 参考文献  永井良和著「風俗営業取締り」
 (株)講談社 2002,4,10刊 1,600円(税別)
 風営法が成立する社会的変遷とダンスとの関わりについて参考になります。
 本書は、条文の解説書ではありません。
 類書がないだけに一読することをお勧めします。
 著者は社会学専攻の研究者・学者(関西大学)です。
(更新日 2006/08/04)