競技の審査基準
1 審査の一般的事項
○ 競技はどのような視点から競技選手をチェックするのでしょうか。
○ 簡潔には、『全ての競技選手に共通するテーマとして競技ダンスの最大の視点は、カップルのバランスが如何に安定し、無理のないバランスで如何に大きなムーブメントと軽快なリズム表現と美しいシルエット(姿)を保ちうるか、ということです。』(JBDFインストラクター専門科目テキストブックvol.V基礎理論・実技、172頁)と云うことができよう。なお、競技を実施している団体からは審査の項目はこれこれしかじかですと、審査規定等はオープンにされておりません。
○ 競技の審査について一般的に云われていることを述べると次のとおりです。これを短時間に感覚的に審査するのです。審査員はまさにスーパーマン(スーパーウーマンもいるか〜(^_^;))なのです。
 チェック項目 
審査の方法 予 選〜準決勝 決 勝
ピックアップ方式 スケーティング方式
審査項目 基本的事項 ホールド
コンタクト
ポイズ
ボデイライン
カップルバランス
技術力 スピード
パワー
ムーブメント(スイング等)
テクニック
ソフト&シャープな動き
フロアクラフト
表現力 音楽の取り方
タイミング
リズミックインタープリテーション
表現力
プレゼンテーション 衣装(ドレス、テールコート)
髪型
化粧
色彩バランス
立ち居振る舞い
2 審査上の問題点
 審査にはいろいろい問題があります。気のついたことを述べてみます。
(1) 客観的な審査基準がない
  ○ 競技ダンスの審査は、フィギュアスケートのように技術点・芸術点のような具体的審査項目が公表されていない。踊っている競技選手を比較しながら総合的な視点から審査員自身の主観によって優劣が付けられる方法で採点が行われます。
 審査員がどのような視点から判断するのかによって結果が大きく分かれます。ある競技会では、女性が男性にぶら下がってばたばた動いていても男性の背中のラインが綺麗であったためにファイナルに残っていました。また、インピタスターンからPPになったので中央斜めに進むのかと思ったら、逆中央斜めに後退したので女性があわててついていっているのを目撃したが、この競技選手はたびたび同様のことをしているにもかかわらず、準決勝まで行くのを見ました。一度や二度ではなくたびたび行っているのに、このような選手の動きを審査員は見逃している。審査員の見識を疑わざるを得ない場面は競技の場でたびたび眼にします。
○ 審査がおかしいと思ってもクレームをつけることはできません。瞬時に判断するために、個々のクレームに審査員が反論できないからです。ダンス競技が他の競技と根本的に違ってクレームを受け付けない審査形態を採るのはやむを得ないことなのです。
しかし、良くない動きの人でも、審査員に「僕が見たときは良かったよ」などと言われると、それ以上の議論の余地はないでしょう。この一言は審査員にとっては水戸黄門の印籠にもにた極めつけの言葉なのです。公平な審査でない場合や情実審査の逃げ口上に使われやすい言葉なので注意しましょう。
○ 噂ですが、ある競技主催団体は男女の動きやバランスを総合的に見るが、他の団体は男性の背中のラインが綺麗であれば残り、また他の団体は勢いが良ければ残り、またまたある団体はあらかじめ決勝に残る人が決まっているなどと云う人がいます。
 また、競技の前の審査会議であらかじめ入賞者の話があるとか、審査員同士で点のやりとりがあるなどと言われています。事前の噂通りの結果になったのを見ると、あながち嘘とはいえないものがあるのではないかと疑ってしまいます。
(2) 審査員に不適切な高齢者がいる
  ○ 審査は短時間に沢山の情報を処理しなければなりません。最初に述べた審査項目を瞬時に判断するのです。人間は齢を重ねると判断能力や動作等が緩慢になってきます。瞬時に総合的に判断するのには高齢者には無理でしょう。審査員は高齢になったら後進に道を譲るため自ら退くか、そうでなければ定年制が必要かもしれませんね。
○ 高齢で多少ぼけているせいか自分の行っている行動に気がつかないのだろうか選手の行く手を遮って踊りの邪魔をする審査員がいたのを見ました。審査をするために立ったフロアの位置が、長辺の角から約2メートルも中であったために、コーナーを使って回ろうとした選手が審査員の手前で狼狽えていたのです。審査に集中していたためか無頓着にフロアの中程に出て選手の進行の邪魔をしていることに気がついていないのです。私は2004年に2度遭遇しました。競技選手の邪魔をしているのに気づかないとは何とも情けないものでした。競技フロアのコーナーは競技選手にとって大事な場所です。審査員は場外か若しくはフロアの端で審査してほしいものです。このようなことに気づかない高齢な審査員は早く辞めてほしいものです。
○ これも高齢の審査員の事例です。音楽が流れ、競技が始まってから眼鏡をかけるのを忘れたのか一所懸命に探し始め、眼鏡をかけたときは曲がほぼ終わりになろうとしていた。あわててチェックを始めたが、たまたま眼の前の選手の背番号をチェックしていた。このときの選手はあまり動きの良くない組でしたので、本人たちは「ラッキー!」といって喜びそうだが、眼鏡を忘れるなどは審査員としての意識の欠如です。このときの審査はいい加減とのそしりは免れないでしょう。競技に入る前の準備は疎かにしてほしくないのです。
○ ついでにもう一つ、T市で行われた競技会で審査委員長していた人が椅子に座って審査をしていました。
齢を重ねてくるといつかは第一線を退く必要があります。競技会の審査は朝から夕方まで審査をしており、体力がなければ競技の審査は出来ません。椅子に座って審査をするようになったら、そろそろ後進に道を譲るときではないでしょうか。
(3) 審査時間が短いため、見落としがある
  ○ 審査員が立つ場所が偏った場合に見落としがあることです。例えば、正面の一辺にばかり審査員が並んで審査するような場合、審査員から遠すぎる選手や近すぎる選手は見落としが生じます。遠ければ眼の良くない審査員のポイントは入らないだろうし、近ければ競技選手が固まって踊るためその比較が難しく、ポイントにならないなどと言われています。最近は、審査員も一方向に固まらないようになってきたが、競技会によっては正面の一辺に審査員が群がっている場合もありますので、注意が必要ですね。
○ 短い時間内(1分40秒前後)に10〜15組が踊り、じっくり選手の踊りを見ることができないために、審査員が特定の選手を丁寧に見れば見るほど当然と云って良いほど時間が足りなくなって見落としは起きます。ダントツに目立つように踊らなければ残るのは難しいことなのですね。
(4) 情実審査
  ○ 競技をしていて一番嫌なのが情実審査です。地方の競技会では地元優先になったり、審査員の生徒が優遇されたり、美人には点数をあげないという女性の審査員がいたり、大変なのです。実力があれば点数をくれるとは思うのですが、釈然としませんね。それに、審査員が一次予選でみたときの選手の踊りに対する先入観があれば、その後の公平な審査に期待は持てない場合があります。
このような弊害を除くためには、@競技会の審査員の数を増やすこと、A審査員のグループを交代して審査する(一次予選と二次予選と違うグループの審査員が行う)、B他の地方から審査員を招聘して審査する(地元の審査員は審査に加わらない)、を提案したいですね。
○ 競技会で1回でも多く残るために、と言うよりは原級を維持するために、審査員のレッスンを受けに遠くまで出かける人がいます。A団体の競技会は審査員が多いので、そちらの審査員にはレッスンを受けず、審査員の少ないB団体の審査員を重点的に廻って現級を維持している人が現実にいるのです。審査員も自分の生徒であれば多少手心を加えてポイントをくれるものです。それを狙ってレッスンを受けに行くのです。これは、タンゲートスミス女史の著書にもあるように、昔からこの手の選手はいるのです。
情実審査を避けるためには、審査員の数は、C級以上が最低7人、大きな大会のオープン戦は9人以上の審査員制としてほしいですね。
(5) 審査員の不勉強
  ○ ある団体で競技の審査員をしている先生のお弟子さんから聞いた話ですが、ノービス級タンゴのベーシック競技に出場するというので、レッスンを受けた時、「ファイブステップはベーシックではないからフォアステップにしなさい」と注意されたので、「みんなファイブステップを使っていますが使っては駄目なんでしょうか?」と聞いたところ、その先生は彼の所属する団体の支部長に電話して確認したところ、使っていいと云われたそうです。ベーシック戦に使って良いかどうかは分かりませんが、審査する立場の者が生徒に指摘されて訂正しているようでは如何なものでしょうか?
○ ダンスにも技術の進歩や流行があります。常に最新のものを勉強して欲しいのですが、例えば外国の著名なプロのレッスンを受けているのは若い選手だけで、一線を退いた元競技選手や、著名と言われる教師がレッスンを受けたという話をほとんど聞かないのはどうしたことでしょうか?
審査する立場にある人こそ人一倍勉強すべきなのに、そうでないのが現状ではないでしょうか。
 元アマチュア・SA級の競技選手であったH・I組の話ですが、JDSFの審査員をしながら、今でもコーチャーに就いてダンス技術の研鑽をしていると聞きました。アマチュアでさえこのような努力をしているのに、プロはアマチュア以上の研鑽が必要ではないでしょうか。
【余計な一言・二言・三言】
○ 審査員をチェックしよう
競技に参加するものにとって点数をもらうかどうかは運を天に任せるしかないのでしょうか?「あと1ポイントで残れたのに!」と云って泣く選手は多いものです。最近は、競技主催団体がインターネットで競技結果(審査チェック表)を公表しています。審査員のチェックが主観によるものと云っても、大勢の審査員の中で極端に点数の付け方が異なっていたり、他の審査員と違って特定の人にポイントを入れるのは審査員としての適正・能力・感性に問題があるのか、情実審査かもしれません。又は他人とは異なって優れた才能の持ち主かもしれません。そんなことを考えながら、みんなでチェック表を見て審査員をチェックして見ると、競技ダンスも別な楽しみ方があるかもしれませんよ。 (^_^;)
 先日、ある上位級の人が、「審査員によっては、いつも入れてくれる人と入れてくれない人がハッキリしている、今までのポイントの傾向を統計的にとって見たらよく分かる。所属教室や技術団体によってその傾向は顕著だ。習いに来ないと点数やらないよと言うことかな〜」と言ってました。
 いろいろと問題がありそうです。審査員に対する批評も良いですが、それとあわせて、審査員の眼で見た自分の踊りの評価を客観的に分析する方のにチェック表を利用したがいいのではないかな〜などと思っています。
○ 競技審査の実際
  競技の審査ポイントは多岐に亘るが、実際に行われている方法は次のとおりかもしれません。競技選手や巷でささやかれていることを書いておきましょう。本当かどうかは、ご自分の目で確かめてみましょう。やっかみ半分のこともあるでしょう。あくまでも噂の域を出ないことを申し上げておきます。
第1に、「@男性の背中が十字架の形で、A背番号の一辺が床に対して平行にして何処までもこの形を維持できる人が決勝に残る。」と云われています。審査員は背中しか見ていないと言われています。背中のラインを綺麗に維持して踊るには相当な技術力(忍耐力)?が必要ですね。スイングなんてつけては駄目なのです。音楽からはずれても、カップルのバランスが悪くても、無理のないバランスで小さなムーブメントでリズムに合っていなくても、男が十字架のシルエット(姿)を保っていれば競技会では勝つのです。そのような眼で競技を見ると真実をついた言い方だな〜と感じ入っております。
第2に、若さです。年齢が若ければ、将来、ダンス界を背負っていく逸材になるかもしれません。ダンス業界の先行投資として、若者を喜ばせてこの業界に留めておくための策として、入賞させると云われています。若ければそれだけで綺麗なシルエットを作ることもでき、年寄りよりはオーラがあるものです。仕方ないのかな〜(>_<)
第3に、競技選手にも年功序列があると云われています。ある程度この業界に貢献しないと競技では残さないと云われています。特にプロの引退間際には優勝させて華を飾ると云われています。ほんとだとすると競技は実力の社会じゃないんですね。
第4に、年配の人は、競技会に沢山出て、審査員に顔を売らなければ入賞できないと云われています。競技主催団体は競技の出場料で収益を上げなければならないからでしょうか? 
第5に、審査員をしているプロにレッスンを受けて、競技の時に点数を貰おうとする人が多いと聞きますが、教えて貰っている間は点数を貰っても、逆にその先生のレッスンを受けに行かなくなると、点数は全然入らなくなると言われています。プラスにもマイナスにも作用することを心得て先生を選ぶ必要がありますね。                                               
[文責:フジ]

【参考】 国際ダンススポーツ連盟(IDSF)の審査基準は参考になります。興味ある人はホームページにアクセスしてみては如何でしようか。多少、語学力が必要です。
 IDSFのHP「DanceSport」の「IDSF DanceSport Mediakit」の5頁「Judging Criteria(審査基準)」
 上記のJDSFによる翻訳